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2012/12/12

ケーナ奏法研究 -vol.6 ピッチコントロール-

ケーナの奏法研究6回目はピッチのコントロール法について書いていきたいと思います。

いまさらですが、当ブログのケーナ奏法研究は、あくまで私個人の演奏法の備忘録的なものになっております。言ってしまえば自分の知識・テクニックの棚卸しとしての意味合いが強いです。

書くからには参考になるよう分かりやすくというスタンスでは書いていますが、記事内容に関しては一般的ではないものも含まれていると思いますので、そのあたりはご了承ください。


今回のテーマはピッチ(音程)です。ある程度ケーナを吹かれる方は、ピッチで困ることがあるのではないかと思います。正直なところ私自身は1人で吹いているときは、そこまでピッチを気にする人間ではありませんが、アンサンブル(特にケーナやシークでの二重奏)をするときは音程の違いがどうしても気になってしまいます。

わざと音程をずらして演奏することもあるので一概には言えませんけれども、音程が微妙にずれていることが原因で不協和音のように聞こえてしまうことがあります。

ケーナは演奏中に音程をある程度自由にコントロールすることができる楽器ですので、そのときそのときの状態に合わせてピッチをコントロールする術を知っておくと、アンサンブルや自身の演奏の幅も広がるのではないでしょうか。

基準となる音程
まずは、自分が吹く基準の音程を決めます。
ある程度吹ける方なら、自分が普段吹いている音程を基準にしてしまうのもいいでしょう。

そうでない場合は、目安としてA=440Hz~442Hzを基準にするといいでしょう。
ケーナは西洋音階で調律されているものがほとんどなので、それに合わせています。

ピッチが変わると同じ吹き方でも音色が少し変わりますので、色々試してみるといいでしょう。
自分の好みの音色が出る音程を探してみてください。

ちなみに私はA=442Hzを基準にしています。
高めの音程にすることでケーナの音が良く(うまく)聞こえるとかそうでないとか。

自分の基準を決めたら、常にその音程で吹くことができるように練習します。

ピッチコントロールの練習法
練習法に関してはこちらの記事に書いてありますが、ロングトーンやスケール練習の中でピッチを一定に保つ練習を行います。

チューナーを見ながら、正しい音程が出る吹き方を身につけるようにします。
可能な方はその音を耳で覚えてしまうと、曲の中でのピッチ修正が容易に行えるでしょう。

さらに、曲の練習のなかで正しいピッチを出せる吹き方を実践するようにし、
普段から気をつけておくことでそのうち自然と正しい音程で吹くことができるようになります。

なるべく全ての音を自分で決めた基準の音程で出せることが望ましいですが、
実際問題として基準の音程よりもずらした音程を取ったほうが良い場合もあるので注意が必要です。

基準の音程よりずらした音程をとる場合とはどんな場合か?と思いますよね。

例えば、メロディーの流れの中でこの音は高めにとったほうが聞こえが良いとか、
低めに音程をとったほうが安定した感じになるとか、
メロディーや音の流れの中でピッチを変えたほうが良い場合もあります。

他にも、合奏をしている中で周りとピッチがあっていないという場合もあります。
弦楽器は音程をすぐに変えられるものではないので、管楽器が弦楽器にピッチを合わるというケースもあります。

後者の例はかなり上級者の方がやっていることなので、あまり参考にならないかもしれませんが、
そのときそのときの状況に合わせてピッチをコントロールする術があると色々と便利です。

次項でピッチのコントロール方法を書いていきます。

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ピッチをコントロールするためのポイント
ピッチを修正する方法として2つの大きな方法があります。
ケーナ自体を修正するか、吹き方を修正するかの2つです。

前者のケーナ自体を修正する方法とは、ケーナの作りに問題がある場合に、
ケーナの歌口や指穴を削ったり、埋めたりすることで根本的なピッチの問題を修正する方法です。
どこまで手を入れるかという判断がちゃんとできないと後で困ることがあるので割愛します。

この項では吹き方でピッチを調整する方法(主にピッチを上げる方法)を書いていきます。

ピッチのコントロールでのポイントは、「管の中にどれだけ息が入るか」という点です。
練習の際に、以下のポイントを見直してみてください。

息による調節
ケーナを吹く息の量、息の速さが適切か見直します。
大抵の場合、息の量や速さが足りていないことがピッチが低い原因となっています。

なるべくたっぷりと息を使う事で、音程を上げる事ができます。

ケーナの角度による調節
ケーナの角度によって音程をコントロールする方法です。尺八ではメリ・カリと呼ばれている手法ですが、
ケーナと尺八は音を出す原理が一緒なので、この手法をそのまま応用できます。

音程を下げる(メリ):顎をひく。もしくはケーナの角度を大きく(水平に)する。
音程を上げる(カリ):顎をうかせる。もしくはケーナの角度を小さく(立てるように)する。

ピッチをコントロールする方法としては最も多用される方法で、
演奏中に調整できることから使用頻度が高いようです。

歌口の当てる位置による調節
歌口を唇に当てる位置を調節することでピッチを変えることができます。
歌口の位置を上げ下げして、適切なポイントを探ります。

唇を歌口より数ミリ程度下げると、より管に大く息が入り、音程が上がりやすくなります。

また、人によっては息が正面ではなく少しだけ左右に偏って出ている場合があります。
この場合は歌口を左右ずらしたり、ケーナを捻ったりして歌口に適切に息があたるようにする事で、
音程の改善を図る事ができます。

※無理に息を正面に出そうとしないようにしてください。余計な力が入り音がうまく出なくなります。

歯のあけ方による調節
音程というより、音質にかかわることが多いかもしれません。
唇の形をそのままに、歯だけを開きます。
文章で書くと簡単なんですけど、実際やってみると少し難しいかもしれません。
歯を開けることで口内での息の流れがスムーズになり、管の中に入る空気の量も多くなって音程があがります。

また、歯を開くことで音が口の中で響きやすくなり、良い音が鳴るように感じます。
同時に、鼻腔もあけるように意識すると音が響きやすくなるように思います。

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参考になればと思います。

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